水天は梵名をバルナといい、古代インド神話では神・人の両世界を知る諸神の王とされ、天地を保持する神として尊崇されていました。また、司法神として昼を司(つかさど)る同伴神ミュトラに対し、夜を司る神ともされています。
初め、水天は天界に住していましたが、のちに大洋の神、水の神、河の神となって水界を司る龍族の王とされるようになります。
仏教にも早くからとり入れられ、四大(地水火風)神の一つとして、また、帝釈天・伊舎那天とともに人民を擁護する神として、様々な経典にその名が見られます。
水の神である水天は、一切衆生に喜びを与える水の特性に例えて、その知恵により利益を与え潤し、悟りという果実を育て導き、様々な煩悩を洗い清めて除き、本来一切衆生自身に備わる菩提心(悟り)を目覚めさせる効力を持つとされます。
密教では、その慈悲に満ちた水の徳をもって、八方天、十二天の一つに数えられ、西方護法天(さいほうごほうてん)とされています。また、祈雨のために水天を供養する「水天法(すいてんほう)」が行なわれます。
左:十二天の内の水天像 右:胎蔵曼荼羅中の水天像
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