十二神将は十二夜叉(やしゃ)神将・十二神王(じゅうにしんのう)・十二薬叉(やしゃ)大将とも呼ばれ、薬師如来を説く経典を読む者や信ずる者を護る十二人の神将です。また、薬師如来の十二の大願(薬師如来が修行中に「病苦を除き、安楽を与える」など衆生を救うために発した十二の願)を守護する神でもあります。
後世には同じ「十二」ということで十二支と結びつき、十二の時、十二の日、十二の月を司る守護神とされました。そのため十二支獣の上に座ったり、額に十二支獣を頂く姿であらわされます。ただしそれぞれの神将にどの十二支が対応するかについては諸経・儀軌(ぎき)によって異なります。
例えば下の写真で、最上段左は十二神将の内の一尊ですが頭頂にネズミ(子)を戴いていますので、十二支の配当(『覚禅鈔』)から知り得る尊名としては、宮毘羅(くびら)とすることができます。
さらに十二神将の各持物についても典拠によってさまざまですので、形態・持物から尊名を推測するのは困難となり、寺伝(じでん)や儀軌、注記などに拠ることが多いようです。
十二神将の各尊名自体は、元々梵語(ぼんご)であり、それを漢字で表記しているため経典によって多少の差異を生じていますが、以下は玄奘訳「薬師本願経(きょう)」に記された、最も一般的と思われる名称です。
写真左から:宮毘羅(くびら)子、伐折羅(ばさら)丑、迷企羅(めきら)寅
写真左から:安底羅(あんてら)卯、マニ羅(まにら)辰、珊底羅(さんてら)巳
写真左から:因達羅(いんだら)午、波夷羅(はいら)未、摩虎羅(まこら)申
写真左から:真達羅(しんだら)酉、招杜羅(しょうとら)戌、毘羯羅(びから)亥
重要文化財 薬師十二神将像 桜池院 各尊名は頭頂に描かれる十二支より比定しています
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