風天は、梵名をバァーユといい、風神、風大神(ふうだんしん)などとも称されています。バァーユとは「吹く」という意味の梵語が転化した語であると言われ、風が吹き通って行く威力ある様子を神格化したものだと考えられています。原人の呼気から生まれたとされるのもそのためでしょう。
風天は、古代インド神話に登場し、酒を好むところからソマパー(ソーマ酒を呑む、の意)と呼ばれ、月天、火天とともに三神として重視され、人々に名誉や福徳、長寿、子孫繁栄をもたらす神として、信仰を集めていました。
仏教にも早くからとり入れられ、『長阿含経(ちょうあごんきょう)』には四大(地水火風)神の一つとして、『新華厳経(しんけごんきょう)』には十種の風神を掲げ、迷う衆生を解脱へと導くことを説いています。また、密教では八方天、十二天の一尊として尊崇されてきました。
左:十二天の内の風天像 右:胎蔵曼荼羅中の風天・風天童子像
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