薬師如来には、瑠璃光(るりこう)如来・医王如来の別名があります。薬師や医王の名のとおり、病を治癒する徳を表す仏で、古来、大衆から歓迎されてきた仏です。
東方の浄瑠璃光(じょうるりこう)世界の浄土の教主である薬師如来は、人々の救済のため十二の大誓願をたてていますが、その中で第七として「いかなる薬もその効がなく、いかなる医者も治癒のてだてのない病といえども、薬師如来の名を聞いたときには、必ずその病を悉除せしめるであろう」という誓願があります。薬師如来の誓願にはいずれもが死後の世のことではなく、この世に生(せい)を受けて生きている人々を護り、病などの苦しみから救済するという特徴があります。
ところが、一般に釈迦如来や阿弥陀如来とともに大衆にあがめられてきた仏である薬師如来ですが、弘法大師の請来された両部曼荼羅図にはその姿がなく、古くより金剛界曼荼羅の成身会(じょうじんね)東方の阿しゅく如来と同体とする説などの数説があります。
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