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高野山 霊宝館(れいほうかん)

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収蔵品紹介

仏に関する基礎知識:両部曼荼羅(りょうぶまんだら)

真言宗のお寺の本堂にお参りしますと、壁面に多数の仏・菩薩が描かれた「胎蔵(界)曼荼羅」と「金剛界曼荼羅」の二幅(にふく)一対の両部(界)曼荼羅図がよく掛けられています。

胎蔵界中台八葉院 部分「胎蔵曼荼羅」は、真言密教の根本経典の一つである『大日経(だいにちきょう)』をもとに描かれています。画面中央には、蓮華が大きく開いた八葉蓮華が描かれ、大日如来を中心に、宝幢(ほうどう)・開敷華王(かいふけおう)・無量寿(むりょうじゅ)・天鼓雷音(てんくらいおん)の五如来と、普賢・文殊・観音・弥勒の四菩薩を配した中台八葉院を中心に、不動明王などの明王尊を配した持明院や、聖観音などを配した蓮華部院(観音院)のほか、全部で十三大院に区画されています。これらは、すべて中尊(ちゅうそん)である大日如来の徳をおよそ414の諸尊が分担する全体と個の関係を図示したものということができます。

すなわち、「胎蔵曼荼羅」に描かれている諸尊は、それぞれの存在の意義を発揮しながら、相互供養し、大日如来のこの世の全ての生命を生かす大いなる生命ならびに慈悲や智恵を分担し、衆生を救済し、悟りの世界が得られるよう衆生を導いている働きのさまを表しています。

また「胎蔵曼荼羅」の根本経典である『大日経(だいにちきょう)』の説く意義を注釈した『大日経疏(だいにちきょうそ)』には、蓮華が、泥の中で種子から芽を出し、次第に成長し、やがて清くけがれのない花を咲かせる。その花は、常によい香りを放って周囲を清めるという喩えをもって胎蔵の意義を教えています。さらに私達は、どんなに煩悩うずまく世界にあっても、本来もっている浄菩提心(究極の悟りを求める心)を失うことなく、大日如来の徳を内蔵していることに目覚め、向上心をもってさとりへと昇華しえる「理」の世界を説いています。

金剛界曼荼羅図これに対して「金剛界曼荼羅」は、根本経典の『金剛頂経(こんごうちょうぎょう)』をもとに説かれる曼荼羅で、中央の成身会をはじめ、全部で九会に区画され、九会曼荼羅とも言われます。

この曼荼羅は、私達が本来もっている仏性を、一切の煩悩に動ずることなく、世の中の一切の諸物諸現象から真理の宝をみいだし、一木一草にいたるまでこの世のあらゆるものの相互の堅い連帯感をもっておしみない慈しみをもち、大日如来の真理を達成するよう実践をおこなうことによって大日如来の真理を体得し成仏することのできる「智」の世界を図示しています。

また、「金剛界曼荼羅」には、私達が救いを求め修行し、煩悩を滅し、悟りを開いていく段階と、仏の方から、救い難いものたちの浄菩提心を目覚めさせ、悟りへと導く二つの働きがあるといわれています。

両部曼荼羅で表現される「理」の世界と「智」の世界は、相互に関係して真理の表裏一体をあらわす相関関係を示すところから「両部不二」とされ、金胎両部の曼荼羅は二幅一対としてお祀りされ即身(そくしん)成仏への観法の本尊としてもちいられます。

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