二十八宿は、月が新月から満月を経て再び新月に至る一ヶ月間(およそ27.32日)の月の運行経路(白道といいます)上にある明るい恒星のことで、一日ごとに「月が宿る」ことから「宿」と呼ばれます。
インドでは二十八宿の他に牛宿を除いた二十七宿とする説もあり、「宿曜経」(「十二宮」参照)でも両者が混乱して伝えられていますが、中国では二十八宿とされます。
二十八宿の起源については諸説ありますが、十二宮と同様にカルデアで生まれ、それがインドを経て中国に伝播したとするのが一般的な見解のようです。
二十八宿を説く主な経軌には「摩登伽経」、「舎頭諫太子二十八宿経」、「宿曜経」、「七曜攘災決」、「七曜星辰別行法」などがあり、自らの生まれた日がいずれの宿にあたるかを見て、その宿によって人の吉凶禍福を判断することができると説きます。
その姿について説く経軌はみられず、胎蔵曼荼羅の最外院や星曼荼羅、胎蔵図像・胎蔵旧図様などに描かれる姿は一定していません。
以下、「宿曜経」に説かれる二十八宿の名称と配される方位です。カッコ内は現図曼荼羅における名称です。
<東方>
画像左から
昴宿・ぼうしゅく(作者天)、 畢宿・ひつしゅく(木者天)、觜宿・ししゅく(烏頭天)、参宿・しんしゅく(米湿天)
井宿・せいしゅく(服財天)、鬼宿・きしゅく(増益天)、柳宿・りゅうしゅく(不染天)
<南方>
星宿・せいしゅく(摩伽天)、張宿・ちょうしゅく(間錯天)、翼宿・よくしゅく(果徳天)、軫宿・しんしゅく(阿悉多天)
角宿・かくしゅく(質多羅天)、亢宿・こうしゅく(自記天)、テイ宿・ていしゅく(尾捨「イ+去」天)
<西方>
房宿・ぼうしゅく(随事天)、心宿・しんしゅく(尊天)、尾宿・びしゅく(辰天)、箕宿・きしゅく(杏天)
斗宿・としゅく(大光天)、牛宿・ぎゅうしゅく(対主天)、女宿・じょしゅく(寂天)
<北方>
虚宿・きょしゅく(愛財天)、危宿・きしゅく(百薬天)、室宿・しつしゅく(賢鉤天)、壁宿・へきしゅく(百辞天)
奎宿・けいしゅく(多羅天)、婁宿・ろしゅく(阿湿毘「イ+爾」天)、胃宿・いしゅく(満者天)
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