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弘法大師は、嵯峨天皇、橘 逸勢と並ぶ平安初期の三筆として、その能筆さをひろく知られていました。その書は奈良朝以来の伝統的な王羲之書法を根幹としながらも、入唐当時の能書家の感化を受けて独自の書風を完成されたもので、日本を代表する名筆として支持されてきました。
入唐時には書の国、中国においても、「五筆和尚」と称され、「篆、隷、楷、行、草」の五書体で非凡な才能を発揮されただけでなく、当時、中国で流行していた雑書体についても深く研究され、飛白体を現在に伝えたことも高い評価を得ています。
国内でも、大師の書は日本書道史に一つの転機をもたらし、後世の書壇に大きな影響を与えました。近世初期には大師の書風が盛んに研究、揮毫され、「大師流」として当時の趣を今に伝えています。ふところを広くとる造字法や重厚な筆遣いは、大師以前にはみられないスケールの大きさと豊かな表現力にあふれており、大師の高い学徳と人徳を感じることができます。
今回の展示では、弘法大師が入唐前、若干24歳で書かれた国宝「聾瞽指帰」、重文「崔子玉座右銘断簡」などの大師の真筆をはじめ、弘仁3年(812年)に灌頂を授けた記録「灌頂歴名(複製)」や、伝教大師最澄に宛てた手紙「風信帖(複製)」など、大師の書と著作に関する名筆21件を展観致します。
日本を代表する書聖、弘法大師の数々の遺墨・名筆および著作をご覧いただき、平安朝、唐代の書風と大師のご遺徳にふれていただければ幸いです。
国宝・聾瞽指帰(ろうこしいき)弘法大師筆
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