修理された文化財展リスト

期間:平成9年10月2日(木)〜平成10年3月10日(火)
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修理された文化財
 真言密教の修行の道場として弘法大師が開創された高野山は、1180有余年の歴史をもつ、文化財の宝庫であります。  しかし海抜約1000メートルの山上であり、盆地であるがために、度重なる落雷等の災禍に会い、失われた文化財も数多くあります。 また、高野山の気候が多湿過多であるが故に、文化財の劣化は避けられないものであります。  長い歳月の間に、文化財にもさまざまなことが起こってきます。多湿は黴の発生や金属の錆などの原因となり、高温多湿下では虫黴害が活発となり、極端な乾燥は、木彫の干割れや顔料の剥離、軸装の裂損などの大きな被害を招きます。  たとえば、仏像の手先や腕がなかったり、持物が失われたり、頭がなく体部だけのものさえあります。美しく見える仏像でも後世の修理(後補)であることが多く、それが文化財のたどった歴史なのです。  私たちは、伝統ある文化財を守り抜き、次代へ引き継がなければなりません。文化財の取り扱いにおいて最も注意すべき事柄が、修理に関する問題です。  今回の企画展「修理された文化財」では主に、昭和・平成の時代に修理された文化財を展示しました。  弘法大師の時代、気の遠くなるような昔に生み出され、蓄積された文化財を、今日なお拝観することができるのは、火事や落雷などでの災害から文化財を護り、修理、修復してきた人々がいたからです。拝観をするにあたって、そんなことを考えるのもいかがでしょうか。
番号
指定 種別 品質 名称 員数 時代 所有寺院
1
未指定 絵画 絹本著色 聖天秘密曼荼羅図 一幅 江戸前期 金剛峯寺
2
未指定 絵画 絹本著色 御宮並興山寺総絵図 一幅 江戸時代 金剛峯寺
3
未指定 絵画 錦本著色 太閤秀吉像 一幅 江戸時代 金剛峯寺
4
未指定 絵画 絹本著色 薬師如来像(東照宮本地仏) 一幅 江戸時代 金剛峯寺
5
未指定 絵画 絹本著色 釈迦三尊像 一幅 南北朝時代 金剛峯寺
6
未指定 絵画 絹本著色 宗論御影写像 一幅 江戸時代 金剛峯寺
7
重文 彫刻 木造 阿弥陀如来坐像 一躯 平安後期 金剛峯寺
8
未指定 絵画 絹本著色 光明真言曼荼羅図 一幅 江戸時代 円通寺
9
未指定 絵画 絹本著色 雲堂法印像  一幅 江戸時代 円通寺
10
未指定 絵画 絹本著色 両界種子曼荼羅図 二幅 鎌倉時代 円通寺
11
未指定 絵画 絹本淡彩 白衣観音菩薩像・雲龍図降・雲龍図昇 一幅(三幅対) 江戸時代 宝寿院
12
未指定 絵画 絹本著色 不動明王・矜羯羅・制多伽童子像 三幅 南北朝時代 宝寿院
13
未指定 絵画 絹本著色 弥勒菩薩像 一幅 江戸時代 宝寿院
14
重文 書跡 紙本墨書 往生瑞応伝  一帖 平安後期  宝寿院
15
重文 書跡 紙本墨書 決定往生集  二帖 平安後期  宝寿院
16
重文 彫刻 木造 狛犬像 二躯 鎌倉時代 天野社
17
重文 彫刻 木造 薬師如来坐像 一躯 平安時代 五大院
18
重文 絵画 紙本白描 覚禅鈔  五十巻(五十二巻) 鎌倉時代 西南院
19
重文 書跡 紙本墨書 五行大義巻第五(宝治二年九月中旬校点之) 一帖 鎌倉時代  三宝院
20
未指定 絵画 絹本著色 狩場明神像 一幅(三幅対) 正智院
21
重文 彫刻 木造 如意輪観音菩薩坐像 一躯 平安後期 如意輪寺
22
重文 絵画 絹本著色 一字金輪曼荼羅図 一幅 鎌倉時代 遍照光院
23
重文 書跡 紙本墨書 文鏡秘府論  六帖 平安後期 三宝院

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