企画展「不動堂と八大童子像」

平成11年10月3日〜11月14日

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ごあいさつ

 国宝の金剛峯寺不動堂は、約八〇〇年前の建久九年(一一九八)に宗祖弘法大師に対する篤い信仰にもとづき、行勝上人の勧めに応じて鳥羽天皇の皇女八条女院が創建した一心院の本堂であったと伝えられております。この建物は高野山現存最古の建造物で、行勝上人念持仏の不動明王坐像と運慶作の八大童子立像をお祀りした由緒を持ち、一山を挙げて護持に努めております。また、住宅風の優美な姿で類例まれな仏堂であることもこの堂を有名ならしめています。
 不動堂は、永年の風雪に耐え、そして幾度かの維持修理を施されながらもほぼ当初の姿を保ち続けております。しかし、近年になって、移築時に整地された地盤の沈下等により建物が傾くなど、保存修理の必要性が急務となっていたことから、関係諸官庁のご理解とご協力を得て、平成七年十月に保存解体修理を着手し、総事業費二億四千七百余円の経費と、四十二ヶ月の事業期間をかけて平成十一年三月に完工し落慶のはこびとなりました。
 この企画展図録は、保存解体修理の完成の落慶を祝し、その記念として不動堂に安置されておりました不動明王八大童子像を一堂に集め、当館で公開するとともに高野山における不動明王八大童子信仰をさぐる展覧会を企画したものです。
 本展覧会を通じ、高野山における鎌倉時代の不動明王信仰の一端に触れていただければ幸いです。
  平成十一年十月三日  高野山霊宝館長  山 口 耕 榮

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