開催趣旨 |
ごあいさつ
弘法大師空海が高野山を真言密教の修禅道場・法身の里として816年に開創して以来今日までおよそ
1200年になろうとしていますが、大師入定後もその思想と文化は変わることなく、
現在まで連綿として受け継がれその命を育んでおります。日本の聖地である高野山は、
宗派を超えた人々の心の拠り所として年間数百万人の参拝者が訪れています。この高野山には、
弘法大師空海が命を賭けて長安の都から持ち帰ってきた歴史を語る貴重な品々をはじめとして、
密教文化の精髄を伝える宝物や往事の天皇や権力者が寄贈した彫刻、絵画、書といった文化財が、
度重なる災禍の難を逃れ失われることなく守り継がれ、今日、それらは信仰の対象ともなっております。
高野山には、まだまだ多くの調査研究の手が及んでいない宝物、文化財が眠っており、
こうした限りない素晴らしい文化財を含む聖地としての高野山を2004年には世界文化遺産へ
登録という動向も期待されております。
この度の展覧会では、今までに公開されてきた国宝・重要文化財ではなく、
近年の調査研究によって見出された未指定ながらも国宝・重要文化財と同等の価値ある膨大な
宝物の中から秘宝およそ80点を公開いたしました。これらの宝物には奈良時代から江戸時代
に至る彫刻、絵画、工芸など美術的価値の高い秘宝も多く含まれています。又、今展の特色は、
平安時代から鎌倉時代の作品を中心にして出展作品の選定が行われたことです。
これは国宝臼杵磨崖仏の造顕が平安から鎌倉時代にかけてと推定されていることに配意したものです。
弘法大師空海の思想と文化や仏教美術の歴史を通じて、密教の強い影響を受けて造顕された
国宝臼杵磨崖仏の製作年代をはじめ、多くの謎に包まれた磨崖仏の歴史的背景についても併せて
考えていただければ主催者としてこれに勝る喜びはありません。
最後になりましたが本展の開催にあたり貴重な宝物文化財の出陳と多大なご協力をくださいま
した高野山金剛峯寺、山内各寺院ならびに高野山霊宝館、その他ご共催、ご後援くださいました
多くの方々に厚く御礼申し上げます。
平成14年12月21日 主催者
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