第4回霊宝展「高野山浄土の美」願いと祈りの美-展示リスト
昭和58年8月1日~31日
ごあいさつ

平安後期から鎌倉時代にかけて天下を風靡した西方極楽往生を欣う信仰は、密厳国土を標榜する真言密教のお山におし寄せて、念仏往生の声は谷々にひびきました。二仏の中間の救世主弘法大師の人定留身するこのお山が、またこの世の極楽であるといぅ信仰から、死んでお骨を大師人定の奥院に埋めたいと願う人々のお墓で高野山は日本の総菩提所の観を呈しています。
今年の霊宝展はそうした人々のさまざまな願をあらわす尊い美術品を展示して、過去の高野山の一面を現代人に知らしめたいと存じます。
昭和五十八年八月一日 山本智教