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天部の諸尊

第15回大宝蔵展-「天部の諸尊」展示リスト

平成6年7月20日~8月31日

御挨拶

このたび高野山霊宝舘では第十五回高野山大宝蔵展「天部の諸尊」を開催することになりました。

「天」と名のつくほとけたちのはとんどはバラモン教やその他異教の神々であったものが、仏教に入り、具体的な神格をもって、仏教を守護する護法神として信仰されたもので、これらの天部の神々は天上界に住するところより「天」の名称がつけられたといわれています。
諸大の中には四天王、梵天、帝釈天などのようにインドでは早くから仏教に入り経典にその名があるもの、また密教の成立によりその数も増加し、中国、日本の宗教に影響され変貌したもの、創作されたものも多くあります。

この天部の諸尊は仏法守護の武人、鬼神など男性像としてあったものが、我が国において女性神が美しく豊満な姿で表現された天女像が登場します。

また仏教尊像のなかでは如来、菩薩、明王、天の順位の脇役的存在に位置づけられ、私たち人類に近く、親しみ易い尊像とされています。諸天のうち吉祥天(豊饒神)のように早くから本尊として奉祀されるもの、毘沙門天のように守護神として単独で祀られるもの、鬼子母神(安産神)弁才天(福徳神)大黒天(財宝神)庚申、閻魔、聖天など民間で直接的な現世利益を期待して信仰されているものも多くあります。

伝説的には弘法大師もその信仰をもたれていたとされており、これらの諸尊は高野山にも多く奉祀され、優れた尊像も多く、また今回初めて公開されるものもあります。

この展覧を通じて天部の諸尊への関心を誘い、信仰に寄せる先人の祈りや生きざまを見出していただき、新なる感銘を呼びおこすことができますれば幸いです。

高野山霊宝館館長 山口 耕榮
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