高野山は、宗祖弘法大師空海により、弘仁7年(816年)に開創以来、真言密教の修禅の霊山として、また宗派や身分を超えて多くの人びとが篤い信仰を寄せる弘法大師信仰の霊場として、今日に至るまで日本の宗教文化、さらには日本の精神文化の根幹を支えている聖地です。そして今もなお、歴史的な宗教行事の継承、宗教的霊域を保持する森林景観の維持が十全になされている高野山が中心となり、平成16年に「紀伊山地の霊場と参詣道」としてユネスコの世界遺産に登録されたことで、日本のみならず世界の文化遺産として、さらに多くの人びとの心のよりどころとなりました。
今そこで、前田家歴代藩主も深く帰依し、また戦中戦後にかけて高野山大学の学長、高野山真言宗管長、金剛峯寺座主を歴任した金山穆韶師は富山県大山町出身という縁もある北陸の地においても、世界遺産登録を祝し、弘法大師空海と高野山の歴史と文化をたどるため、「山の正倉院」とも呼ばれる高野山に伝わる国宝23件をはじめとする数多くの密教美術、日本美術の貴重な文化財の中から、国宝6件、重要文化財28件を含む文化財80点を、今回初めて公開することとなりました。
これらのかけがえのない文化遺産との出会いが、この地でも育まれてきた弘法大師、そして高野山への信仰の歴史を今一度再確認するとともに、未来に向けて信仰とそれを支える精神文化を、さらに継承してゆく貴重な機会となることを願うものです。
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